豊かな感性や表現力を伸ばす リトミック
近年では幼児教育の分野で「リトミック」という言葉がよく聞かれますね。リトミックが少しずつ馴染みのあるものに変わってきているのではないでしょうか。
しかし、リトミックについて、「言葉は聞いたことはあるけれど、どういうものなのかはわからない」「リトミックをすることで具体的にはどのような効果があるの?」など、疑問のある方もいらっしゃるでしょう。そこで、下記ではリトミックについてお話ししていきます。
目次
リトミックに取り組むことで得られるメリット5つ
リトミックに取り組むことでどのようなメリットを得られるのか、ここでは5つご紹介していきます。
1.音楽的な感性を磨き、運動能力の向上も期待できる
多様な音楽に触れると、自然と音程や強弱、リズムなどを感じたり、さまざまな楽器の音に触れたりできます。このことを通じて、音楽的感性を養うことができます。
同時に、五感にプラスした6番目の感覚と言われる「筋肉の感覚」をやさしく刺激することもできます。
リトミックでは、音楽に合わせて体を動かしていくので、筋肉や関節をよく動かすことになり、自分の体の感覚や関節の動きが分かるようになります。リトミックに取り組むと、脳の指令を通じて体を思い通りに動かす体験が重ねられるので、音楽的感性だけではなく、運動能力も上がることが分かっています。
2.想像力や思考力が養われる
リトミックでは指定された動きを取り入れるだけでなく、自分がイメージした動きを自由に表現することも大切にされています。
想像力とはイメージする力であり、自分の中で生まれたイメージを自分なりにどのような動きで表現しようか考えることで、想像力や思考力を養うことができます。
想像力はコミュニケーションの場において、相手の気持ちを想像して相手を思いやりながらコミュニケーションをとるために必要です。また、思考力は自分が今何をするべきなのか、相手は何を望んでいるかなど、自分の頭で考えて実行する力に繋がっていくでしょう。
このように、想像力や思考力が育まれていくことは、今後の社会に出た際に必ず必要となる力が育まれていく、ということなのです。
3.相手の気持ちを理解し、受け止める心が育つ
お友達と一緒に活動し、それぞれのイメージや感じたことを自由に表現する場でもあるリトミック。自分のイメージを表現していく中で、自分とは異なるイメージを持つお友達の存在に気付くことがあるでしょう。
このような状況で、例えば「お友達と一緒の動きをしてみましょう」と指示された場合、自分のイメージを相手に押し付けるだけではうまく行きませんね。
自分のイメージを相手に伝えると同時に、相手のイメージに興味を持って受け止め、お互いの考えを理解し合うことが必要です。
もちろん、幼少期のうちから上手にできる子はいません。このような経験を重ねて、人と関わる上で大切な「相手の気持ちを理解し、受け止める心」が育っていくのです。この体験は、協調性や社会性を身に付けるのにとても役立ちます。
4.音楽に対する積極性が生まれる
厚木園の様子
乳幼児期から音楽にふれあい、日常の中に音楽がある環境で成長していくことで、様々なジャンルの音楽に興味を持ったり、自発的に楽器の演奏に挑戦してみたりなど、自然と音楽に対する積極性が高まっていきます。
音楽に対する積極性が高まることで、意欲的に音楽活動に参加することができ、さらにたくさんの刺激を受けることができるでしょう。
5.「内的集中力」と「外的集中力」を身に付けることができる
リトミックの取り組みの中でメインとなるのは、集中して音楽を聞き、その音楽から感じられることを自分なりに表現するという内容。これは、「内的集中力」と「外的集中力」という2つの集中力を身に付けることにつながります。
内的集中力とは、自分の中の五感を通じた集中力を指し、外的集中力とは、自分の外にある物事やイメージ、順序を考える集中力を指します。
音楽を集中して聴くことで、内的集中力の発達が期待できますし、周りに目を向けて保育者やお友達の動きをよく見ることで、外的集中力の発達も期待できるのです。
乳幼児期からリトミックに参加することで得られるメリット2つ
厚木園の様子
0歳児から参加することができるリトミック。より幼い時期からリトミックに取り組むと、さまざまなメリットがあることが分かっています。ここでは2つご紹介します。
1.体全体を使って表現する楽しさを知る
リトミックは、音楽が流れている環境の中で、心地良い音色やリズムを感じながら、自由に全身を動かすことから始まります。そのため、体全体を使って動く楽しさが感じられますし、自分の思うように動ける心地よさも感じることができるでしょう。
2.音の違いを楽しむことができる
たくさんの音楽を通していろいろな音に触れる中で、音の高低や強弱、またリズムの早い遅いなど、それぞれの音楽に表現の違いがあることに気付けるでしょう。
また、「ド・レ・ミ」と声を発しながらその音で歌うことで、音感も身に付くかもしれません。さまざまな楽器の音にも興味が持てるでしょう。このように、いろいろな音を楽しむ土台作りがされていくのです。
それぞれの年齢に合ったリトミックの方法
0、1、2歳児のそれぞれの年齢に合ったリトミックの方法をご紹介します。
●0歳児:親子での時間を音楽と共に心地良く過ごそう
0歳児は、心地良い環境の中で音楽に触れることから始めましょう。そこで効果的なのが親子で行うふれあい遊びです。やさしいリズムの中、ゆったりと親子での時間を過ごすことで、心地良いふれあいができるでしょう。耳に入ってくる心地よいリズムに対して、自然と親しみを持てるようになります。
●1歳児:自由に体を動かしつつ、動きをまねすることに挑戦しよう
体を動かすことがより楽しくなってくる1歳児。身体の運動機能も少しずつ高まり、できる動きが増えてくるのもこの時期です。
そんな1歳児では、音楽に合わせて自由に体を動かしながら表現することを楽しみつつ、状況に応じながら動きをまねすることにも挑戦してみましょう。様々な動きに挑戦していくことで、高い身体能力を養っていきます。
●2歳児:リズムと動きをセットで覚えてみよう
見た動きをまねして動くのが上手になってくる2歳児。0〜1歳児に比べて2歳児は見違えるほど動きが活発になり、運動量が増えてきます。そんな2歳児では、ダンスのようにリズムと動きをセットで覚えて表現することに挑戦してみましょう。
もちろん、完璧に踊る必要はありません。無理のない範囲で楽しく行えるダンスがおすすめです。
いつでもどこでも楽しめるリトミック
お家などでいつでも楽しむことができるリトミックをご紹介します。
1.手遊び
手遊びはいつでもどこでも思い立った時にできるリズム遊びです。子どもたちが大好きな手遊びをご紹介しますので、ぜひご家庭で一緒に行ってみてはいかがでしょうか。
人気のある手遊び
- ・おべんとうばこのうた
- ・いとまき
- ・トントンとんとんひげじいさん
- ・グーチョキパーでなにつくろう
- ・ワニの家族
2.オノマトペを使ったリズム遊び
オノマトペを取り入れたリズム遊びもおすすめです。オノマトペとは「キラキラ」「サラサラ」などというような擬態語や「ゴロゴロ」「ドンドン」などというような擬音語のことです。このようなオノマトペを取り入れながらお散歩をしてみましょう。
歩きながらテンポに合わせて「ズンズン」と言ってみたり、水溜まりを見つけて「ピチャピチャ」と言葉にして音を表現してみたり。様々な音やリズムに触れることができるでしょう。
3.音楽に合わせて体を動かす
お子さんの好きな曲をバックに、親子で体を動かしてみることもおすすめです。
振り付けがある曲の場合、無理に真似をせず自由に表現しても良いですし、自分なりに動きを真似しながら体を動かすことも、楽しく音楽に触れることに繋がります。
また、山形には名産のさくらんぼをテーマにした「さくらんぼ体操」という曲があるので、一緒に踊ってみるのも良いかもしれません。動きも難しくなく全身を動かす振り付けが多いので覚えやすいでしょう。
厚木園の様子
リトミック活動は、様々な音楽に親しみながら感性や表現力を高めることができます。
サンライズキッズ厚木園では、子どもたちの感性を磨き、情緒の発達を促せるようなリトミック活動に取り組んでいます。
動物の動きを取り入れたリズム遊びを行ったり、全身を使って音に合わせて大きく体を動かしたりと、子どもたちは日々楽しんでリトミック活動に参加しています。
サンライズキッズ厚木園での取り組みは園のホームページでご紹介していますので、ぜひご覧ください。
保育士の振り返りアンケート結果
リトミックを取り入れることで、リトミックカリキュラム研修を通して、
子どもたちに変化が見られたか。また、変化が見られた場合
どのような変化が見られたか具体的に記載してください。
厚木園の保育士回答
- ピアノを使って取り組むことで興味をもち、音をよく聞こうとしていました。
- 音楽が流れたり、保育士の手拍子などに自然に反応して身体を動かしたりする姿が見られるようになりました。
- さまざまな音の聴き分けができるようになりました。
- 保育士自身も楽しみながらリトミックに参加したことで、子どもたちも興味や関心を持ってできました。遊びの中で自然と子どもたち同士で楽しんでいました。家庭でも子どもが披露をし、保護者にもリトミックを知ってもらい一緒に楽しむ機会につながっているようで良かったです。
厚木園以外のサンライズキッズ他園の保育士回答
- 音楽を聴いて楽しそうに反応するようになりました。音の高低やリズムを感じられるようになりました。
- 歌に合わせて手拍子をしたり、首をふったりするようになりました。
- みんなでリズムに合わせて楽しむような雰囲気をもち、自由な表現を楽しんでいるようになってきたと思います。
- 遊びの中でカリキュラムごっこをしたり、ピアノに親しみを持ったりしていました。
- カリキュラム活動に積極的に取り組むようになったと感じました。
- 楽器を使った際、初めは自由に楽器を鳴らしていたが、今では保育士やピアノの音に合わせて楽器を鳴らす姿がみられるようになりました。
- 音楽を聞いてリズムを取れるようになってきました。
- 音楽や音など、耳で聞こえたものに合わせて動く姿が見られ始めました。
- 音楽に興味をもち、耳を傾けてよく聞くようになりました。
- 符号を覚えるようになりました。符号の区別を理解し、声に出しながら手合わせを積極的に行うようになりました。リズム感を養うことができ、ピアノの音に耳を傾けながら表現することができるようになりました。
- 音を聞いて、それに合わせて動くことができるようになりました。
- 以前より物事に取り組む際の集中力がつきました。
- 初めは乗り気でなかった子どもも、友達や保育士が楽しんでいる様子を見て「一緒にやってみよう」と言う気持ちで取り組む様になったため、変化を感じました。また音符カードを取り入れた当初は、見たままの音符を覚えているだけなように感じましたが、しっかりとリズムを理解して表現するようになってきています。
- 研修で学んだことを実践すると、子どもたちが積極的に取り組んでくれたと感じました。
- リトミックを通じてさまざまなことに対する自己表現が豊かになったと感じます。
- 四拍子の手拍子の最後の休符を待てるようになり、成長を感じて良かったと思いました。
- はじめは保育士と同じ事をする姿が多かった子ども達ですが、保育士も自由に身体を動かす事によって正解、不正解がない事を子どもたちなりに理解して、自由に動く姿が増えてきました。
- 保育士の真似をしてリズムを取ったり、音楽に合わせて身体を動かしたりすることが上手になりました。
- 毎回の研修で実践的なものを見せて頂けたので、子ども達にも伝えやすかったです。特に音を聞いて身体を動かす即興的なリトミックにおいては、ピアノの音をよく聞いて身体で感じられるようになったと思います。
- 音楽に興味を持って楽しく取り組んでいたと感じました。
- 楽器の音を止めたり、鳴らしたりのメリハリがついて成長したと思います。
- 「ストップ&ゴー」などを通して音を聴きながら動きを判断する力がついたり、活動中の集中力が高くなったりといった成長を感じました。
- リズムの拍を意識する姿が見られるようになりました。2 歳児になると音の強弱、早さの変化など、自分で気づき、動作につなげられるようになったと感じます。
- 楽しく取り組むことによって楽器を使うのが上手になったと思います。
- 音や言葉を聞いて、静と動の動きが出来るようになってきました。
- 最近では短調と長調をとりいれると『、寒そうだね...』と言いながら音の変化に耳を傾けることができるようになっていました。
- ピアノに合わせて表現遊びを楽しんでいたことに成長を感じました。
- 具体的に実践を見ることで保育士が意図を理解して行うため、子どもたちにスムーズに実践して楽しむ様子を見ることができました。
- 音楽が聞こえるとリズムに合わせて身体を揺らしたり、リトミックで使用している曲だと「○○だ!」と動きで表現する姿が見られたりするようになりました。
- 子どもたちが音楽やリズムに親しむ経験を重ねたことで、新しい曲や活動にも積極的になったり、朝の会などでの季節の歌を楽しんだりする姿が増えました。
- 音楽が好きになり、自由表現やリズム打ちを楽しめるようになりました。
リトミックカリキュラム活動を振り返り、良かった点や反省点、
来年度につなげたい点がございましたらご記入ください。
- カリキュラムの時間を設けていることで園児たちの集中力が増したり、表現の幅が広がったことが良かったと思う
- 来年も子どもたちに合わせたカリキュラムを楽しんでいきたい
- リトミックに関してはとにかく初心者だったので、前半の研修内容は難しく感じました。
後半の0〜2歳児向けの内容(実践例)を実演していただくことによって、自園にあった内容に落としていけたと思います。保育者が恥ずかしがることなく、自信を持って行うことを心がけていきたいです。 - 楽しみながらカリキュラムに取り組むことができた。子どもたちも積極的に参加できるカリキュラムになった
- 子どもたちの興味に合わせながら工夫もしていきたいです