豊かな感性や表現力を伸ばす リトミック
幼稚園や保育園でよく取り入れられている音楽を使った教育方法をリトミックと言います。リトミックでは、音楽に合わせて身体を動かしたり、リズムに動きを合わせたりして表現をするのが主な活動。さらに楽器を使って音を鳴らす活動も行っています。
リトミックは子どもの想像力や集中力、思考力を高めていくとされており、幼少期から始めると様々な効果があると言われています。ここではリトミックについて具体的に説明していきましょう。
目次
リトミックは子どもにどんな影響を与えるの?
集中力が身に付く
リトミックを行うことによって、「内的集中力」と「外的集中力」という2つの集中力が鍛えられます。
「内的集中力」とは、自分の頭の中にあるイメージや考え、自分の気持ちなど、無意識に行うことにつながる集中力。自分自身に対して集中する力のことです。
一方で「外的集中力」とは、自分の外にあるものに注意を向け、味覚・視覚・聴覚・触覚・嗅覚の五感をフルに使って情報を感じ取り集中させる力。
リトミックでは音楽をよく聴き、それをイメージしながら考えて身体を動かすことで、「外的集中力」と「内的集中力」を高めることができるのです。
基礎的な身体能力が高まる
リトミックでは、音楽に合わせて身体を動かすので、基礎体力が高まると同時に、リズム感が身に付きます。また、「即時反応力」という、音を聞いて即時に反応する力も育つと言われています。
コミュニケーション能力がつく
リトミックは、園のお友だちなどの小集団で行うことが多いです。友だちと一緒に活動する楽しさや喜びが感じられるので、自然と社会性やコミュニケーション能力、協調性を育むことができるでしょう。
音楽性が養われる
いろいろな音楽に触れるリトミックは、音楽のリズム、音の音域、強弱を知ることで、音楽に関する感性が育つとされています。
楽器に興味や関心を抱く
名古屋港園の様子
乳幼児が取り組むリトミックでは、鈴、タンバリン、カスタネット、マラカスなどの打楽器を用いて行うこともあります。楽器を使って音を出す方法を知り、音やリズムに合わせて音が出る楽しみ感じることによって、楽器に対して興味や関心を抱いていけるかもしれません。
なぜ乳幼児期からリトミックを始めるのか
赤ちゃんは、徐々に視覚や聴覚が発達していき、生活の音や家族の声に反応し始めます。2~3歳ともなれば、大人の言葉を理解して2語文や3語文を話すようになる子もいるでしょう。この時期からリトミックを行うことで「感じる」「聞く」「表現する」という力をより高めていけます。
また、周りの大人とスキンシップを取ることで、赤ちゃんは安心感に包まれ、心も成長していくことでしょう。
年齢別のリトミックの内容について
●0~1歳児:スキンシップをしよう
五感の中で一番初めに発達すると言われる触覚。そのため赤ちゃんにとってスキンシップはとても大切です。0~1歳児向けのリトミックでは、赤ちゃんの身体をさすったり、手足の曲げ伸ばしを行ったりするなど、スキンシップをたくさん取り入れましょう。
●2~3歳児:音に合わせて身体を動かそう
動きが活発になる2~3歳児は、音楽に合わせて身体を動かしながら、音の美しさやリズムの面白さを経験させてあげましょう。簡単な振り付けを真似するのもいいですね。
リトミックではいろいろな音楽に触れることが重要
名古屋港園の様子
保育園では、いろいろな音源に合わせてリトミックを行います。お遊戯のように決められた動きを覚えて真似することははせず、流れてきた音楽をよく聴いて、音楽に合わせて子どもが自由に動きます。
例えば、音楽が流れている時は動き、止まったら動きを止めるなど。他にも、低くてゆっくりした音が鳴ったら大きな動物の動きをしてみたり、高くて速い音が鳴ったら小さな動物の動きをしてみたりと、子どもが自由に感じるまま表現して動くことを大切に活動しています。
名古屋港区で行われているリトミック活動
名古屋市こども・子育て支援センター「キッズステーション」
月ごとに、様々なイベントを行っています。
家庭で行えるリトミック
名古屋港園の様子
子どもは生まれた時から、たくさんの刺激を受けながら日々成長していきます。そんな子どもの成長発達を、音楽の面からも認識して見守っていきませんか?
ここでは家庭でも取り組むことができるリトミックをご紹介します。
おべんとうばこのうた
♪これくらいの おべんとばこに おにぎりおにぎり・・・の歌に合わせて、楽しんでいきます。
①数と指の出し方を練習します。1のときは指を1本、2の時は指を2本というように、数と指の数が結びつくようにしましょう。
②お弁当の中身の指の動きを真似してみましょう。
できるようになったら、歌に合わせてやってみます。上手になってきたら、大きなお弁当箱や小さいなお弁当箱に変えてやってみましょう。親子で一緒に一つのお弁当箱を作ってやってみるのも楽しいですよ。
なまえあそび
♪ ♪ 〇〇ちゃん ♪ ♪ 〇〇ちゃん ♪ ♪…
音符は手拍子です。2拍子のリズムを刻んでみましょう。初めはゆっくりから行い、できるようになったら早くしていきましょう。
手遊び
手遊びもリトミックの一つです。
- ・きゃべつのなかから
- ・ちいさなはたけ
- ・とんとんとんひげじいさん
- ・むすんでひらいて
- ・グーチョキパーで
- ・おちたおちた
- ・げんこつやまのたぬきさん
リトミックを行う時は、その日の体調や周りの環境にも配慮して、無理なく楽しみながら行いましょう。
おうちでも簡単に楽しむことができるリトミック。親子の触れ合い時間としてリトミックを取り入れてみてはいかがでしょうか。
サンライズキッズ名古屋港園の子どもたちは、リトミックで音楽の楽しさや美しさに触れながら、友だちと一緒に身体を動かす楽しさも味わっています。子どもたちの様々な表現の仕方に、保育士も日々驚かせられています。
そんなリトミックの様子はホームページに掲載されていますので、ぜひご覧ください。
保育士の振り返りアンケート結果
リトミックを取り入れることで、リトミックカリキュラム研修を通して、
子どもたちに変化が見られたか。また、変化が見られた場合
どのような変化が見られたか具体的に記載してください。
名古屋港園の保育士回答
- 音楽を聴いて楽しそうに反応するようになりました。音の高低やリズムを感じられるようになりました。
- みんなでリズムに合わせて楽しむような雰囲気をもち、自由な表現を楽しんでいるようになってきたと思います。
- 音楽が流れたり、保育士の手拍子などに自然に反応して身体を動かしたりする姿が見られるようになりました。
- 音楽を聞いてリズムを取れるようになってきました。
- 子どもたちが音楽やリズムに親しむ経験を重ねたことで、新しい曲や活動にも積極的になったり、朝の会などでの季節の歌を楽しんだりする姿が増えました。
名古屋港園以外のサンライズキッズ他園の保育士回答
- 歌に合わせて手拍子をしたり、首をふったりするようになりました。
- ピアノを使って取り組むことで興味をもち、音をよく聞こうとしていました。
- 遊びの中でカリキュラムごっこをしたり、ピアノに親しみを持ったりしていました。
- カリキュラム活動に積極的に取り組むようになったと感じました。
- 楽器を使った際、初めは自由に楽器を鳴らしていたが、今では保育士やピアノの音に合わせて楽器を鳴らす姿がみられるようになりました。
- 音楽や音など、耳で聞こえたものに合わせて動く姿が見られ始めました。
- 音楽に興味をもち、耳を傾けてよく聞くようになりました。
- 符号を覚えるようになりました。符号の区別を理解し、声に出しながら手合わせを積極的に行うようになりました。リズム感を養うことができ、ピアノの音に耳を傾けながら表現することができるようになりました。
- さまざまな音の聴き分けができるようになりました。
- 音を聞いて、それに合わせて動くことができるようになりました。
- 以前より物事に取り組む際の集中力がつきました。
- 初めは乗り気でなかった子どもも、友達や保育士が楽しんでいる様子を見て「一緒にやってみよう」と言う気持ちで取り組む様になったため、変化を感じました。また音符カードを取り入れた当初は、見たままの音符を覚えているだけなように感じましたが、しっかりとリズムを理解して表現するようになってきています。
- 研修で学んだことを実践すると、子どもたちが積極的に取り組んでくれたと感じました。
- リトミックを通じてさまざまなことに対する自己表現が豊かになったと感じます。
- 四拍子の手拍子の最後の休符を待てるようになり、成長を感じて良かったと思いました。
- はじめは保育士と同じ事をする姿が多かった子ども達ですが、保育士も自由に身体を動かす事によって正解、不正解がない事を子どもたちなりに理解して、自由に動く姿が増えてきました。
- 保育士の真似をしてリズムを取ったり、音楽に合わせて身体を動かしたりすることが上手になりました。
- 毎回の研修で実践的なものを見せて頂けたので、子ども達にも伝えやすかったです。特に音を聞いて身体を動かす即興的なリトミックにおいては、ピアノの音をよく聞いて身体で感じられるようになったと思います。
- 保育士自身も楽しみながらリトミックに参加したことで、子どもたちも興味や関心を持ってできました。遊びの中で自然と子どもたち同士で楽しんでいました。家庭でも子どもが披露をし、保護者にもリトミックを知ってもらい一緒に楽しむ機会につながっているようで良かったです。
- 音楽に興味を持って楽しく取り組んでいたと感じました。
- 楽器の音を止めたり、鳴らしたりのメリハリがついて成長したと思います。
- 「ストップ&ゴー」などを通して音を聴きながら動きを判断する力がついたり、活動中の集中力が高くなったりといった成長を感じました。
- リズムの拍を意識する姿が見られるようになりました。2 歳児になると音の強弱、早さの変化など、自分で気づき、動作につなげられるようになったと感じます。
- 楽しく取り組むことによって楽器を使うのが上手になったと思います。
- 音や言葉を聞いて、静と動の動きが出来るようになってきました。
- 最近では短調と長調をとりいれると『、寒そうだね...』と言いながら音の変化に耳を傾けることができるようになっていました。
- ピアノに合わせて表現遊びを楽しんでいたことに成長を感じました。
- 具体的に実践を見ることで保育士が意図を理解して行うため、子どもたちにスムーズに実践して楽しむ様子を見ることができました。
- 音楽が聞こえるとリズムに合わせて身体を揺らしたり、リトミックで使用している曲だと「○○だ!」と動きで表現する姿が見られたりするようになりました。
- 音楽が好きになり、自由表現やリズム打ちを楽しめるようになりました。
リトミックカリキュラム活動を振り返り、良かった点や反省点、
来年度につなげたい点がございましたらご記入ください。
- カリキュラムの時間を設けていることで園児たちの集中力が増したり、表現の幅が広がったことが良かったと思う
- 来年も子どもたちに合わせたカリキュラムを楽しんでいきたい
- リトミックに関してはとにかく初心者だったので、前半の研修内容は難しく感じました。
後半の0〜2歳児向けの内容(実践例)を実演していただくことによって、自園にあった内容に落としていけたと思います。保育者が恥ずかしがることなく、自信を持って行うことを心がけていきたいです。 - 楽しみながらカリキュラムに取り組むことができた。子どもたちも積極的に参加できるカリキュラムになった
- 子どもたちの興味に合わせながら工夫もしていきたいです