ことばや集中力が身につく 絵本の読み合い
子どもと絵本を読み合いすることには、さまざまなメリットがあることはご存じでしょう。親子で、または園でみんなで、楽しく絵本に親しむことで信頼関係や愛情を育み、心の発達をやさしくサポートしてくれとうれしいですね。
ここではそんな絵本の読み合いについて、どんな効果があるのかをまとめてみました。
目次
絵本の読み合いにはこんな効果がある!
①想像力が養われる
宇都宮園の様子
子どもの脳は、体験による記憶を思い出したり、そこから想像できることを考えたり、まだ起こっていないことを予想したりと、日々思考をめぐらしながら、驚くほど成長しています。
絵本のお話に耳を傾けながら、自分も絵本の世界に入り、登場する人物などに感情を移入することで、頭の中には大きな世界が広がるので、想像力がたくましく成長します。
子どもなりの柔軟な想像力で、大人では思いつかないような表現をしたり、自由に遊びの中に取り入れたりし、大人を楽しませてくれることもありますね。
②感情が豊かになる
絵本の中に出てくる登場人物はさまざま。人間だけではありませんし、時には悪いことをたくらむケースもあるでしょう。
子どもたちは絵本の世界に入り込み、登場人物の感情の動きを敏感に感じ取ったり、相手はどう思うだろうと想像したりしながら、自分の中に湧き出る喜怒哀楽を少しずつ理解していき、自分のものとしていくのです。
③言語の発達を促す
絵本の中に出てくるさまざまな言葉や表現に触れることは、語彙力や表現力を高めることに大変役立ちます。語彙力が高まれば、当然先生や周りのお友達とのコミュニケーションも活発になるでしょう。
とはいってもまだ子どもですから、時にはうまく伝えられなくて手が出ることも。しかしそれも子どもの発達段階と考えましょう。
だんだんと自分の気持ちを表現できるようになってきますし、相手の気持ちも理解できるようになっていきます。
④コミュニケーション能力が育つ
宇都宮園の様子
想像力や語彙力が増し、感情の表現もできるようになってくると、だんだんと周りとのコミュニケーションもうまく取れるようになってきます。
これは人間関係の構築という観点からすると基本のキ。コミュニケーション能力は大人になってから勉強して身に付くものではなく、幼少期からさまざまな体験を重ねて、徐々に身に付けていくものです。他人の気持ちに寄り添ったり、自分の思いを上手く伝えようと工夫したりする経験はとても貴重なのです。
SNSを多用する世の中になっているからこそ、このような対人コミュニケーション能力は特に身に付けてほしいと願う保護者が増えていることは言うまでもありません。
⑤集中力が身に付く
絵本を読み合いている間、子どもたちはじっと集中していますね。これは集中力を養うのに大変適しています。
集中力はこれから生きていくうえで、勉強やスポーツ、読書など様々な場面で必要とされる能力。幼少期から少しずつ身に付けておきたいですね。
もちろん大人でも集中力を長続きさせることは難しく、スイッチのOn/Offが大切。絵本の読み合いを通して、幼少期から集中力のOn/Offする力が身に付くでしょう。
月齢別 絵本の選び方と読み合いのコツ
①0歳児には・・・読み合いという行為にこだわらないで!
0歳児には、きちんと絵本を読み合いするのは難しいでしょう。神経質に考えず、おもちゃと同じ扱いでOK。親子で楽しく遊ぶ時間と捉えましょう。
最初のうちは、単純な色や形で構成され、音の響きやリズミカルな言葉が楽しめるものがおすすめ。徐々に自分で触れると感触が楽しめたり音が鳴ったりする仕掛け絵本を取り入れてみましょう。
②1歳児には・・・日常生活と結びつけて楽しくオノマトペ
宇都宮園の様子
日常の音やリズムが楽しめる絵本がおすすめです。歩く音や雨の音、動物の鳴き声など、日常にはさまざまな音があふれています。犬とワンワン、雨がザーザーなど、状況がイメージしやすいオノマトペを一緒に楽しみましょう。外で犬を見かけたら「絵本に出てきたね」と話を広げてみるのもいいですね。
子どもによってはお気に入りの絵本ばかり見たがります。保護者は「たくさんの絵本に触れさせなきゃ」と考える必要はなく、お気に入りの絵本を毎日楽しんでください。
③2歳児には・・・好みに応じてストーリー展開もあり
活発に動き回るようになり、言葉も発達も著しい2歳児。少しずつストーリーが理解できるようになってくるので、簡単なお話の展開がある絵本がおすすめ。
感情も豊かになってくるので、絵本の主人公になって、一緒に絵本の世界間に浸れるようなものがいいでしょう。
この月齢は、車や電車、人形やお洋服など、好きな物にこだわりが出てくる子もいます。その子の興味を引きだす絵本を選んでくださいね。
絵本の読み合いには難しいルールはありません。「上手に読まなくては」「最後まで読まなくては」と縛られる必要はないのです。
子どもの反応を見ながら、内容について話を膨らませたり、時には脱線して違う話に夢中になったり、同じページばかり見て楽しんだりなど、それぞれの楽しみ方をしてください。
なによりも子ども達は、先生や保護者と一緒に過ごす時間が大好き。子どもの感情を大切に受け止めてあげることで信頼関係を築き、健全な情緒の発達を促します。
サンライズキッズ宇都宮園では、大切なカリキュラムとして、絵本の読み合いの時間をたくさん作っています。絵本を通じて一人ひとりの発達をやさしくサポートしていけるように、職員一同日々工夫しています。
ご家庭でも親子でたくさん絵本に触れる時間を作ってあげてくださいね。
保育士の振り返りアンケート結果
「絵本の読み合い」を通して、子どもたちに変化が見られたか。
また、変化が見られた場合どのような変化が見られたか具体的に記載してください。
宇都宮園の保育士回答
- お気に入りの絵本を繰り返し「読んで」、と持ってくるようになりました。
- 落ち着いて最後まで絵本に集中して見られるようになりました。
- 毎日読み合いを行うことで、子どもたちの絵本への興味が出てきたり、集中力が高まったりしてきたと感じます。
- 絵本に対して以前より集中して見られるようになってきていると感じます。
- 絵本が好きになり、お気に入りの絵本を保育士と一緒に楽しもうとしたり、さまざまな興味や疑問を持ったりしながら絵本を見るようになりました。
- 絵本をじっくりみて楽しむ姿が多くなりました。「絵本をみたい」と、手に取る姿が増えたと感じています。
- お気に入りの絵本ができ、読み合いの時間を喜ぶ姿が見られました。また絵本の中の言葉を覚え、一緒に読む子どももいました。
宇都宮園以外のサンライズキッズ他園の保育士回答
- 以前より集中して絵本を見られるようになりました。
- 物事に集中することに対する強弱の付け方などを学び、子どもの集中する時間が長くなったように感じます。
- お話を楽しみにしたり、お話に集中したりする力がつきました。
- 絵本に出てくる簡単な言葉や音を覚えたり、絵本の読み合いの時間を繰り返すことで集中してお話を聞けるようになったりしています。また、落ち着いて静の時間を過ごせるようになりました。
- お話を覚えていたり、楽しみにしていたり、興味関心や集中してみる力が育まれたように思います。
- とくに2歳児では、戸外遊びの時に見たものが絵本に出てきたものと似ていたり同じだったりすると、知らせたり、それに対してイメージをふくらませてみたり、また会話や遊びの中でお話と同じ内容を取り入れてみたりするなど、遊びの中で絵本のストーリーを取り入れ、より想像力豊かに遊ぶ姿が見られました。
- 繰り返し絵本の読み合いを行うことに対して、子どもたちの反応が大きかったです。
- 散歩中や戸外遊び時に「絵本に出てきた〇〇だね」と話して発見を楽しむ姿が見られました。
- 絵本に興味を持つ子どもが増えたと感じました。また、語彙が増えたことに成長を感じます。
- 絵本の中に登場するものを、現実に存在するものの中から見つけたり、言葉を繰り返しているうちに覚えたりしました。
- 集中力が高まり、座ってじっと絵本の話を聞く姿が増えました。
- 登場人物の心情を想像することで他者の気持ちを考えてみる想像力が養われたり、語彙を身に付けたりすることができました。
- 絵本の展開を覚えて発語したり、一緒に笑ったり驚いたりするようになりました。
- 集中力がつき、全体の読み合いを静かに聞けるようになりました。
- 年度終わりでは長めの絵本 ( 内容によるが年中向き ) の絵本を静かに聞けるようになるほど集中力がつきました。
- 物事に対する集中力が高まり、言葉からの想像力も育まれたと感じます。
- 子ども達の言葉や発声が日を増すごとに増えていると感じました。
- 絵本の読み合いを通して、集中力の持続が感じられました。最初は短い絵本でも立ってしまったり飽きてしまったりする園児もいましたが、年度後半に差し掛かるにつれて長い絵本が聞ける様になりました。職員の話もしっかり聞くことができるようになったと思います。
- 絵本に興味を示すようになり、絵本をよく見るようになりました。
- 集中が続くようになり、座って絵本を読んだり、じっと見たりすることができるようになりました。
- 絵本に出てくる単語を覚え、そこから発語につながっていったと感じます。
- 楽しそうに読む姿が見られ、何度も繰り返し読むことで自分で内容を覚えて読んでいく姿も見られました。
- 絵本を読むことについてイメージを膨らませて発展させて楽しむ姿が見られました。
- より絵本が好きになり、少しの時間でも絵本を読みたいと子どもたちから言ってくるようになりました。
- 毎日読み合いする時間があり、子どもたちも興味を持って見ることができていたと思います。
- 語彙が増えたり、絵本への興味を持ったりするようになりました。
- 絵本が大好きになり、始まると静かに耳を傾けている子が増えました。
- 絵本を集中してみる時間が増え、少しずつ長い話も聞けるようになっています。
- 繰り返し読み合いすることにより絵本への関心や興味を持つことができるようになりました。絵本を楽しみにするようになりましたし、言葉の模倣も楽しむことができるようになりました。
- 絵本で描かれている絵の色づかいやお話の展開に興味関心が広がり、想像力が高まっていました。
絵本の読み合いを振り返り、良かった点や反省点、
来年度につなげたい点がございましたらご記入ください。
- 実際の絵本を読み合いしていただいて、わかりやすかったです。
- さまざまな絵本を知れて良かった。毎月の絵本の読み方も教えていただき実践できた。
- 好きな絵本が子どもたちの中でうまれていったことがよかった。
年度の後半には長い物語も楽しめるようにしていきたい。 - 季節感や発達によりあった絵本を読んでいきたいた。
- 子どもたちの反応が大きかったり、集中して絵本の世界へ入り込むことができるようになったので良かった。