2018-08-30サービス社会にいると自分の前頭葉を刺激する機会が失われがち 0件のいいね!
みなさんが子どもたちに漢字を教えて書けるようにさせるのも、
まさにワーキングメモリのトレーニングになります。
昔は、手紙を書こうとすると、漢字を思い出せないと書けないので、
書くだけでも自然とトレーニングになっていました。
今のようにワープロソフトで書いてしまうとトレーニングにならない!
みなさんが子どもたちに漢字を教えて書けるようにさせるのも、
まさにワーキングメモリのトレーニングになります。
昔は、手紙を書こうとすると、漢字を思い出せないと書けないので、
書くだけでも自然とトレーニングになっていました。
今のようにワープロソフトで書いてしまうとトレーニングにならない!
では、問題をしてみましょう!
「か」のつく言葉を3つ思い出してください。
はい、これは楽勝ですね。
では、「か」で終わる言葉を3つ思い出してください。
こうした記憶の呼び出しも、ワーキングメモリの機能の一つです。
本人にとって、「きついが、がんばればできる」というラインをいかに設定するのかが、考える力を鍛えるポイントです。
他の子と比較するのは、まったく無意味な話!
出来る子にとっては、4ケタの数字なんて覚えても、前頭葉のトレーニングにはならない。
4ケタが楽勝なら、今度は5ケタでやらないと意味がないし、その次は7ケタでやらないといけない。
逆に、4ケタできついようなら3ケタでいいし、3ケタでもきついなら2ケタでもいい。
場合によっては、1ケタでもいい。
実際、「8」という数字だけでも覚えるのがきつかったら、その子にとって、それはそれでトレーニングになるということです。
その子にとって、適度な課題を設定することだけを考えてあげてください。
前回やっていただいたようなテストでは、なかには10桁楽勝という人もいます。
そういう人の頭に脳のはたらきを調べる装置をつけてみると、6桁くらい超えない脳が
活性化していきません。
逆に、4桁でも大変だった人は、あっという間に活性化できます。
つい、子どもたちにできるようになることを求めます。
それも間違いではないのですが、実は、
子どもたちができないであがいているときの方が、前頭葉は活性化する、子どもが育つ瞬間なのです。
このことを、ぜひ心に留めておいてください。
子どもたちが学習しているときは、さかんにこのワーキングメモリを使っています!
学習だけではありません。
「ここでは静かにしてね」というしつけも、そのことを脳にメモしておいて
騒ぎたくなる気持ちを抑え、すべきことに頭を使うわけなので、
ワーキングメモリの立派なトレーニングになるのです。
できないことをやるのが脳トレ・・・簡単な脳トレでもワーキングメモリを鍛えることができます。
例えば、4ケタの数字を適当に思い浮かべてください。
(ただし、1・2・3・4とか、7・7・7・7はダメです)
前頭葉に障害があるとバラバラな数字を思い浮かべにくくなります。
つまり、1・2・3・4や4・3・2・1のような、規則的な物しか
出てこなくなる傾向があります。
ですから、バラバラな数字を思い浮かべるだけでも、
実は一種のトレーニングになるのです!
では、それを逆から言ってみてください。
これだけワーキングメモリ体験を重ねると、
「あ、今『脳のメモ』を使ってるな」という感じが
直感的に理解できるようになったのではないでしょうか。
他にもワーキングメモリには、ある事柄がいま自分のメモリに入っているかどうかをチェックする機能もあります。
その力が落ちてくると、同じ考えが浮かびがちになる。
「また同じ話していますよ」と言われたことはありませんか?
このことは知的活動だけでなく、情動の側面でも起こります。
子どもたちの間ではよくある話ですが、ワサワサした気分でなかなか落ち着かず、授業と休み時間の切り替えがしにくいということも起きてくるのです。
ワーキングメモリは、物事を覚える時だけではなく、他者とコミュニケーションをとる際にも重要なはたらきをします。
ワーキングメモリの力が落ちてくると、人の気持ちと自分の気持ちを並行的に処理する作業がきつくなってくるので、わがままというか、自己中、自己愛といわれる状態になりやすくなります。
人の気持ちを酌むこと自体が大変になって、引きこもりがちになったりもします。
前回の問題で前々回した問題の数字だけ覚えるより4つの言葉を覚えるのは、大変だということもわかっていただけたかと思います。
ワーキングメモリには、視空間メモパッドと音韻ループという2つのバッファ(記憶装置)があります!
脳にメモするにしても、画像にしてメモをする人もいれば、音のループでメモする人もいるかもしれません。
目の記憶と耳の記憶をうまく組み合わせることが、ワーキングメモリを働きやすくさせることに繋がります!
私たち大人にとって重要なのは、いかにしてワーキングメモリの力を低下させないか、子どもたちにとって重要なのは、いかにしてワーキングメモリの力を伸ばすのか
<記憶テストをしてみよう>
次の言葉を覚えてください。
「つくえ、ゆり、こおり、まぶた」
覚えたら、知的作業をします。
「富士の山」
を、逆から言ってください。
さて、先ほど覚えてもらった言葉は何でしたか?
声に出して答えてください。
この問題もできたかどうかが重要なのではありません。
脳のメモ帳を複数枚使うとはどういうことか、実感できましたね。