7月8日に放送が始まった新しい令和のウルトラマンシリーズ「ウルトラマンブレーザー」はご覧になっている保護者の方も多いでしょう。
でも「なーんか昔と違うな」って思いませんか？そう、ヒーローが年齢が高めでかつ妻子持ちなんです！
【2023年7月10日(土)朝日新聞朝刊を参考にしています】

親世代を意識か？女児向けアニメも年齢が高め設定

この流れはウルトラマンシリーズだけではないようです。他の子ども向け番組も軒並み年齢が高めのヒーロー、ヒロインが登場しているとのこと。
その背景には現代の大人と子どもの関係性が垣間見れる、とも言われています。
ちなみに、ウルトラマンブレーザーの主人公、ヒルマ・ゲントは30歳。同じ年の妻がおり、7歳の息子もいる設定です。

ストーリー展開も現代風

都心に怪獣が出現、主人公の任務は「自分を犠牲にして怪獣を倒せ」ではありません。主人公の任務は「若手隊員を無事に帰還させること」そのために様々な作戦変更に振り回されながらも隊長としての指示を行う･･･

ウルトラマンシリーズの放送開始は1966年。当時の主人公は若手の地球防衛軍の隊員。正義感に満ち溢れ、上層部の判断にも物おじせず物申す、そして若手隊員は手柄を立てる･･･
実際にサラリーマン社会にこのような新入社員が入社してきたらちょっと煙たいかな、と思う大人も多かったのではないでしょうか。総じて大人は「これは物語。フィクション」として実社会とは別の話と考えていたでしょう。

一方で対象が主人公の現代では、部下を上手くまとめ、時には守り、上司の様子もうかがいながら作戦を立てて実行する･･･まさに現代の中間管理職？？と思ってしまうほどです。

現代でのテーマは「コミュニケーション」

コロナ禍を経て人々の暮らしは大きく変わり、災害も増えました。この作品のテーマとして、監督の田口清隆さんは「がむしゃらなルーキーよりもうまく立ち回れる中間管理職像が求められているのでは」と考えたそうです。

現代の子どもが「大人になったらなりたいもの」

第一生命保険が1989年から子どもにアンケートを取っている「大人になったらなりたいもの」。以前は男児はスポーツ選手や学者が上位だったのに対し、2020年に初めて「会社員」が1位になったそうです。
コロナ禍で在宅勤務する父親を見て「お父さんに別の顔がある」と感じた子どもは多かったでしょう。親世代に近い主人公をかっこいいなと思うかもしれない、と田口監督は考えたそうです。

変化する戦隊ヒーロー、プリキュアも同様

2023年2月まで放送されていた戦隊シリーズ「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」の、キジブラザーは33歳の妻帯者。冴えないサラリーマンという設定でした。
また、現在放映中の「ひろがるスカイ！プリキュア」では、初の男の子メンバーの「翼（キュアウイング）」も話題になりましたね。

サブカル全盛期を過ごした父母世代、子どもの意識が変化？

かつてのアニメや映画は大人の世界に対抗心を持っている子どもが主人公だったりすることが多かったようです。
しかし今は大人や教師は否定する対象ではなく、一緒に盛り上がり協力する人達、という意識に変わったのかもしれません。そう「仲間」です。
最近は反抗期のない子どもが増えているそうですが、上の世代に反抗する理由がないから、という見方もあるそうです。
危機に立ち向かうのは知識や経験を積んだ大人、という設定の方が、子ども達にとって説得力があるのかもしれませんね。